
第1幕:出会い


ニニギノミコトは
葦原中国(あしはらのなかつくに)を
治めるために高千穂(たかちほ)に戻り、
そこから全国へ旅を始めました。

ニニギノミコトが地上を治めるにあたり、
富士山周辺の国津神(くにつかみ)で
あるオオヤマツミ(大山津見)を訪れました。
国津神(くにつかみ)とは、
日本神話における地上(葦原中国)に属する神々を指します。
国津神に対して、天上の高天原に住む神々を
「天津神(あまつかみ)」と呼びます。

そこで一人の美しい女性に
出会いました。
その女性こそ、
コノハナサクヤヒメでした。

はじめまして、
ニニギノミコト様。
私はコノハナサクヤヒメと申します。

あなたの美しさは、
まるで春の花そのもの。
どうか私と結婚していただけますか?

あなたの優しい心に感動しました。
お受けいたします。

どうか
父にもあって下さいませ。

お父上様
こちらニニギノミコト様です。
高天原の最高神、アマテラス様の
お孫様です。

これはこれは。
そんな高貴な神様が、この土地に
よくおいでなすった。
ゆっくりしていって下され。

お父上様。
突然で申し訳ございません。
わたくしニニギは、
コノハサクヤヒメ様に
恋をしてしまいました。
是非とも彼女との結婚を
ゆるして頂けないでしょうか。

お父上様
このお方は素晴らしい方です。
私からも宜しく
お願いいたします。

そうですか。
それはそれは、
大変光栄なことです・・・・。
わたくしとしては
寂しくはなりますが、
娘たちを幸せにしてやってください。

今日はお泊りになって
こちらも色々準備がございますので
後日、ニニギ様のもとに送らせて
いただきます。

お父様。
ありがとうございます。
ゆっくり待たせて頂きます。
ぜひぜひ気軽に会いに来て頂きたいですし
私もまた伺います。

第2幕:イワナガヒメとコノハナサクヤヒメの登場


ニニギ様!
遅くなりました。
コノハです。
お嫁に参りました。

コノハ姫!
お待ちしてました。
この地で共に幸せになりましょう!

どうも~
嫁に来てやったぞ。
イワナガっす。

え!?
ど・・・どなた?

あ、
わたしの姉です。

あ・・姉!
お姉さまでございましたか!
これは失礼いたしました。
そうですよね、心配で付き添いにいらしたのですね。
ご挨拶が遅くなりました。
コノハ姫様と結婚させていただく
ニニギと申します。
妹様は大切にいたします。
お姉さまもご安心して
お父様にお伝えください。

お前何か勘違いしていないか?
私も嫁だ。
もてなせ。そして
なんかすっげえ3つの宝を
持ってるらしいな
それよこせ。

へ!?
よめ?
強盗?
な・・・何がなにやら。

ニニギ様すいません。
お父上が、姉もセットで嫁にって
言いだして、二人で来ました。
私セット商品だったみたい。
てへ♡♡♡♡♡
ニニギたんは
許してくれるわよね♡♡♡♡♡

えええええええ~。
え・・・・えっと。
セット!?
結婚にセットとかあるの!?

ニニギたん。
妹を泣かせたら即、
呪いをかけるからな。
そして私には基本、干渉するな。
部屋の中も見るな。
見ただけで呪われるぞ。

こえええええええええええ。
なんか超怖いこと言ってますけどおおお。
ちょっと・・・お父様に手紙を・・。

ニニたん。
ああ見えて姉はやさしいから
大丈夫よ♡♡♡♡♡
何も考えちゃだめよ♡♡♡♡♡
私を愛して♡♡♡♡♡

もちろん私も愛せよ。
だが近づくな。
指一本触れることも許さん!
だが愛せ!
誰よりも幸せにしろ!
でないと悪魔を召喚して襲う。

あ・・・悪魔を召喚できるんすか!?
ちょ・・・・ちょ・・と。
と・・とりあえず。
今日はゆっくりと泊って行ってください。
ちょ・・と色々考えますので・・・。

第3幕:ニニギの選択


ニニギは翌日、
何とか妹のコノハサクヤヒメだけを残し
姉のイワナガヒメを実家へ帰しました。

ただいまー。

あれ?
どうしたイワナガ!
ニニギ様と結婚して一緒に住むんだぞ。
帰ってきちゃダメだろ。

いや~。
なんかあいつよわっちいし
ビビッて
『お姉さま、後生です。今日はお帰り下さい』って
泣いてたぞ。
ふざけるなって言ったら
何か『一生、高天原の宝を毎日私あてに送りますから。
お願いします』って言ってた。
がははははは!
まあ、ならまあいいかな~って。
結婚で縛られるのも
むかついていやだしな~。

そんな・・・。
違うのだ、コノハとイワナガが
一緒に暮らすことに意味があったのだぞ!

もしイワナガも妻として迎えていれば、
ニニギ様の命は岩のように永遠に続いただろう。
しかし、
コノハナサクヤヒメのみを選んだために、
ニニギ様の命は桜の花のように
美しくも儚いものとなってしまう!

あ、そうなんだ~。
それ誰も知らないんじゃない?
父ちゃんそれ先言わなきゃ~。
まあ、いいじゃん。
ゆっくりしようよ。
高い酒貰ってきたし飲もうぜ~。

うううう。
ニニギ様、申し訳ございませぬ・・・。
説明をしっかりしておけば・・・。

こうして
ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメは結婚し、
幸せな家庭を築きます。
しかし、オオヤマツミの言葉は現実となり、
この事がきっかけで
神であるニニギと
その子孫には寿命が有限になったとして
語り継がれることとなりました。

えええええ。
どうしよう~!
知らないうちに寿命で死んじゃう身体になっちゃった・・・。
しかも子孫まで・・・。
これ、アマテラス様にぶちぎれられんじゃね?
と・・・とにかく。
内緒にしておきましょう・・・。

ににたん。
そんなのどうでもいいから
さっさと忘れて、
わたしを愛して♡♡♡♡♡
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